「□□■□□ □□□■□」の取り扱い説明書
今作のテーマは『不条理』です。
『不条理』なんて納得がいかない! SFで説明して!
という方は、
※PG-12「
16歳。4月1日のメモ」をどうぞ。
一つの肯定された世界で、作品の不足分が描かれています。
「
16歳。4月1日のメモ」は、こういった世界の構築も可能だというだけで、正解ではありません。
『不条理』をテーマにした作品は、読者の楽しみを奪わないためにも、作者が明確な答えを出さないのが鉄則です。
解釈は人の数だけあって良いのです。
と思っていたんですが……、感想を拝見して『不条理』に慣れていない方が多いです……よね。当然ですよね。
ヒントと楽しみ方のポイントを一部分だけ書き出します。
1.記号
タイトルの記号は「モールス信号」です。
□が「ツー」、■が「ト」に当たります。
タイトルは和文符号なので、「アス」となります。
作中で使用している記号は、わざと欧文符号と和文符号を組み合わせました。
無理やり訳そうとすると
「as a アス」となります。
「アス」の意味は読んだ方の出した答えがどんなものであれ、正解です。
それが『不条理』の楽しみ方です。
2.ロード
>『ようこそ、ロードを作るロードへ。
> わたしたちのロード』
>『あなたにより、わたしもまたロードされるのです』
↓
『ようこそ、
Lord(主)を作る
road(道)へ。
わたしたちの
Lord』
『あなたにより、わたしもまた
load(実行)されるのです』
と、なります。
3.言語
作中で使用されている言語は、日本語を母体としています。
現代(西暦2009年)が舞台ではないので、多少の発音(音便)の変化は存在します。
また俗語も造られているので、新しい言葉(俗語)も増えています。
アスは米語、英語など他言語の教育を正式に受けていません。
ただし、日本語(カタカナ)化している単語はいくらか理解できます。
4.誰にメッセージを送っているのか
>ねえ、わたしの声。届いていますか?
お届け先はもちろん“わたし”ではない「あなた(他者、you、彼方)」です。
アスがモールス信号を打っているのか。
アスにモールス信号が打たれているのか。
あるいは場転記号としての効果しかないのか。
このことに関してはノーコメントで。
「わたし」と「あなた」の解釈もそれぞれで。
5.プレ
英語で表記するとしたら「pre」です。
また<pre>という記号もあります。
6.大きいほうのセンセイ(マザーコンピューター)
【ホーム】の道具《コンピューター》たちを統括する機械です。
世界の中心にそびえたつ巨大な円柱であり、道具《コンピューター》たちがマァム(お母さん)と呼ぶ存在です。
作中では、アスはマザーコンピューターに背を向けて、世界の「おしまい」に向かいます。
そして、マザーコンピューターの内部に似た空間にたどりつきます。
一本の木でも、電柱柱でも良いです。あるいは、生命の樹でも、宇宙樹でも良いです。または心臓でも、子宮でも良い。ということです。
7.【ホーム】
英語で表記するとしたら「home」です。
「家」、「故郷」の他にも「施設」という意味があります。
8.魔法の鍵
>鍵はトランプのカードに似ています。ハートやスペードのマークがついていれば完璧だったでしょう。
トランプの
「ハート」は聖職者、聖杯、信仰。
「スペード」は騎士(貴族)、剣、正義。
などの意味があります。
通常、トランプのスートは「スペード」から始まります。
またトランプのスートはタロットの小アルカナのワンド(杖)、カップ(聖杯)、ソード(剣)、コイン(護符)が由来とされています。
9.行動制限の解除
>冷蔵庫のドアも、図書室の奥にある閉架図書室の入り口も、大きいほうのセンセイの中に入る扉も開くのです。
「冷蔵庫」 → 好きなものを好きなだけ食べることができる自由。
「閉架図書室」 → 秘匿されていた知識を得る自由。
「大きいほうのセンセイの中」 → 法律(ルール)を破壊することができる自由。
あくまで一例です。他の解釈があっても良いのです。