1.曇り空
燈子から手紙が来た。
宗一郎はそれを読んだ後、かすかに笑った。
そして、返信をしたためた。
まるで、秘密の恋人同士のようだ。
すぐ側の家に住んでいるのに、手紙をやり取りをするなんて。
靄のかかった湖のような便箋に、青黒いインクで宗一郎は短く書いた。
落ち葉拾いに出かけよう。
バス停で待つ。
宗一郎
宗一朗は、ガラス戸を開けた。
便箋の入った封筒を廊下に差し出すと、それはスッと消える。
それを確認して、宗一郎はガラス戸を締める。
おもむろに立ち上がると、コートとマフラーを持つ。
少年はバス停に向うのだった。
親愛なる宗ちゃんへ
とーこのお空はくもり空です。
理由は、話せません。
とーこはこれでも、7番目の玉がどんな意味か知ってるんです。
だから、今日は会いに行けません。
小さなコップが見つけられないとーこより